33 南の山

 南の山の馬鹿いたっけど。何にもしねでいたから、ばばが、 「畑に行って、虫見てこい」と言ったど。んだから、その馬鹿は半日、畑で虫見ったけど。昼間になったら、腹へったから、家さ帰ったど。そしたら、ばばが、 「虫とってきたか」と、馬鹿に聞いたら、馬鹿は、 「虫、いっぱいいて、上がったり、下がったりしった」と言ったど。
話者 渡部宮雄 (米沢市遠山) 父
採集 渡部美喜子
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