12 瓜子姫

 むかし、瓜子姫とおじいさんとおばぁさんが住んでいました。それはそれは瓜子姫をかわいがって仲よく暮らしていました。おじいさんとおばぁさんは仕事に出かけるときに瓜子姫に言いました。
「瓜子姫や、誰か来ても決して戸をあけるなよ」
 そうして仕事にでかけて行きました。瓜子姫は一人になると機織りをはじめました。しばらくすると、トントンと戸を叩いて、
「戸をあけてください」という声がします。瓜子姫は、
「誰がきても決して戸を開けるなと言われています」と言いました。それでもまたトントン「戸をあけて下さい」と何度も続きます。
 トントン、「少しでいいですから開けて下さい」トントン「ほんのすこし」。あまり言うので、瓜子姫は機から降りて、ほんの少し開けました。(一部欠)
 おじいさんとおばぁさんが帰ってきてみると家の中には瓜子姫は居ず、探してみると家の後の柿の木に瓜子姫が縛られて吊るされていましたとさ。
話者(高畠町露藤)
採集 今井加代子
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