4 と き 鳥

 むかし、とき鳥という鳥がいたけど。ある日、とき鳥が越前川原さ粟蒔いたんだど。しばらく経(た)ってから、草むしんなねべなぁと思って、越前川原さ行ったけぁ、きれいに草むしらっていだけど。またしばらく経ってから、きっかけ(土を返すこと)しんなねべなぁと思って川原さ行ったけぁ、ちゃんときっかけさっていたけど。
「おかしいこともあるもんだ。烏の奴にちがいない」と、とき鳥は思っていたど。
 取り入れの時期が来たので、また鎌をもって川原さ行ったど。そしたけぁ、また今度もちゃぁんと刈らっていたけど。とき鳥はごしゃえで、烏のところさ行って、
「越前川原さ、粟蒔いたのを、おまえ取ったべ」と言ったら、烏は、
「他人(ひと)のもの、おれ知しゃね。カア、カア」と飛んで行ってしまったど。ほんじゃらば雀だべと思って、雀のところさ行って、また同じこと言ったけぁ、雀も、
「おれ、他人のもの取んね。チュンチュン」と行ってしまったど。ほんじゃモグラだべと思ってモグラのところさ行って同じこと言ったけぁ、
「おれ、他人のものなの取んね」と言ったど。そこさ、小(ち)っちゃこいモグラが出てきて、
「ゆんべなの粟餅食いてぇなぁ」と言った。んだから、嘘がばれて殺さっちぇしまったんだど。ほだから嘘はつかんねもんだど。
話者 安部富子(高畠町和田)
採集 安部よう子
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