18 安部の保名 

 むがしあったけど。
 むがしある所(ど)さ、殿さまいだけど。ほの殿さまの奥方、病気んなて、なんぼ医者さかけだて治らねぁけど。ほんで、殿さま、道庵ていう八卦おぎん、八卦おえでもらたど。ほの道庵ていう八卦おぎぁ、八卦おがへっど、日本一ていう程じょんだ八卦おぎでぁぇったど。
 ほの道庵、殿さまの奥方んどご見で、八卦おえだけど。ほしたば、ほの病気(ぎ)ぁ狐の生肝とて飲まへっど治るて出だけど。ほんで道庵ぁ殿さまさ、
「殿さま。奥方さまの病気ぁ、狐の生肝飲まへろ、ど出あした。んだはげぁぇ、狐捕(と)てきて、ほの生肝飲まへでけらっしぇ。ほうすっど直ぐえぐなりあす」
 て言(ゆ)たど。ほんで、殿さまぁ家来達さ言(ゆ)い付げで、狐狩りさへるごどんしたど。
 ほんで家来達ぁ、えっぺぁ山さ行て、狐狩りしたど。ほうしたば、狩り出さっで、一匹の狐ぁ出はてきて、逃(ね)げだけど。ほんで家来達ぁ、
「ほらっ、狐ぁ出はたぞ、逃がすな、逃がすなー」
 て叫(さ)がびながら追(ぼ)たど。ほうしたば狐ぁ、あっつこっつ追(ぼ)わっで、しめぁぇにぁ、逃げ所(どこ)ぁねぁぐなて、お観音さまのお堂の中さ、ひょろひょろと入(へあ)て行(え)たけど。
 ほのお観音さまにぁ、安部の保名ていう若(わが)ぁぇ人(しと)で、ながなが利口(りご)でしっかりした人(しと)ぁ、体悪(わり)ぐして、三、七ぁ二十一日の間(えあだ)こもて、お観音さまさ、体治してころて願かけでいだぁだけど。ほごさ、狐ぁ弱わて、ひょろひょろど入(へあ)て行(え)たば、保名いだべ。んだおんださげぁぇ、狐ぁ、涙ぽろぽろどこぼしながら、保名どさ、
「保名さん、保名さん。今(えま)おれぁ殿さまの家来だづに追(ぼ)わっで、捕(し)めらえっどごだはげぁぇ、どうがおれぁどごかぐして、助けでころ」
 て頼(たの)だけど。ほんで、保名ぁ、窮鳥も懐(しどごろ)さ入れば助けるていう例(たど)えもある、ど思(も)て、まだ、まして生(いぎ)おんだおん、ただ殺さへでいらんねぁ、ていうなで、香炉さ入(へあ)てろて、香炉さ入(へ)で、おわ知らねぁふりして、お観音さま拝んだけど。
 ほうしたば、ほのうづん、
「ほら、狐ぁお宮さ逃げだぞ。ほら捕(し)めろ」
 ていう声ぁしたどおもたら、忽(たぢま)ちどやどやど家来達ぁ来たけど。ほうして、保名いだおんださげぁぇ、
「今、こごさ狐ぁ来たけべ。何処(どさ)隠っだが教(おへ)ろ」
 つけど。保名ぁ、
「ほうゆう者(おの)ぁ、来ねぁがったな」
 て言(ゆ)たば、
「いや、たしかに来たぁだ」
「いや、来ねぁがった」
「来ねぁじゅぁねぁ。たしかに来たぁだ。隠したて駄目だ」
「なんと言(ゆ)わっだて、来ねぁ者(おの)ぁ、来ねぁていうはんてねぁ」
「きた」「こねぁ」
 ていうごどんなて、家来達ぁ、
「殿さまの奥方さま病気で、狐の生肝とて飲まへっと治るていうごどで、我々はわざわざ狐狩りして、此所(こご)まで狐ぁどご追(ぼ)てきたぁだ。それを来ねぁなて、強情(ひのず)つぱて隠すごったら、ただでぁおがねぁぞ」
 て、おどすけど。ほんでも保名ぁ、
「いや、なんといわっでも、来ねぁけはげぁぇ、来ねぁ、ていうばりだ」
 て、あぐまで隠したど。ほうしたば、ごしぇで、
「げんに入(へあ)っどこ見っだな、強情(づぶでえ)奴(やつ)だ。それ、痛めづげで白状さへろ」
 ていうど、こんだ、保名どごさんざん叩ぎづげだけど。ほんでも保名白状しねぁおんだはげぁぇ、
「こいづぁ、随分強情奴だ。向うの滝の上(ゆえ)さ連(つ)で行(え)て、あそごの崖さ逆(さがさ)ん吊しておげ、明日まで吊しておげば、鼻がら血(つ)ぁ出んべし、眼(まなぐ)さも血ぁ溜(たま)て、盲(めっこ)んなるし、余(あんま)り動(えご)ぐど、縄切っで崖がら落で死ぬばんだはげぁぇ、白状するまで吊しておげ」
 ていうど。保名どご、後手(うすろで)ん縛(す)ばて連(つ)て行(え)たど。
 ほうして、保名ぁ滝の上(ゆえ)の方さ連で行がっだけどは。ほうして途中まで行たば、向(むご)うがら、和尚さん来たけど。ほうして、ほの人達ど会うど、
「これはどうした罪人なんです」
 て聞ぐけど。ほんで、家来達ぁ、
「殿さまの命令で、我々ぁ狐狩りしったば、狐ぁほごのお宮さ入(へあ)たけはげぁぇ、行たば、この男ぁいで、狐隠して、狐なの来ねぁけどて、強情(ひのづ)つっぱるおんだはげぁぇ、ほごの滝の上の崖さ吊して、白状さへんべど思(も)て連(つ)で来たぁだ」
 て言(ゆ)たど。ほうすっど、和尚さんぁ、
「それぁなる程悪(わ)りがもしんねぁども、たがが一匹の狐のために、この若者(わがあえおの)が命おどすがもしんねぁよだごどは良ぐねぁ事だ。この若者はおれぁあずがる」
 ていうど、保名どさ、ばえっと、おわぁ衣掛げだけど。なんた罪人だて、和尚に衣掛げらえっど、なんずも出来ねぁあだけど。んだおんだはげぁぇ、家来達ぁ、保名どご和尚さんさ預げで、行てしまたけどは。
 ほの和尚ずぁ、さぎだ助けらっだ狐で、保名連(つ)でえがれっど直ぐ香炉がら出はて、先廻りして和尚ん化げで、保名どご助けでくっだぁだけど。保名ぁ、和尚さんに縄とえでもらたども、さんざん叩がったおんだはげぁぇ、体中痛(い)でぁぇくて、よろぼて歩(あり)ぐなだけど。和尚さんほれ見で、
「この道(みず)少す行(え)ぐど、泉(すず)ぁあっさげぁぇ、其処(そご)で水でも飲で、体休めで、ほれがらほの道ずっと行ってみろ。ほうすっど、家(え)ぁあっさげぁぇ、ほの家んどさ行てみろ」
 つけど。ほんで保名ぁ、和尚さんどさ礼言(ゆ)て、ほの道行たど。ほしたばやっぱり泉あっけど。
保名ぁ、ほごで水飲で、ゆっくり休(やす)で、まだ行ったど。ほうしたば向うに家(え)ぁ一(えっ)軒めっけど。ほんで、ほっつの方さ行たば娘(あね)こぁ、此方(こっちゃ)来(く)っけど。ほうして、ほの娘こぁ、保名の側まで来っど、だんまて保名どご見っだけど。ほして、
「どごが体でもえぐねぁあですか。すっかり弱て、歩ぐなようやぐだよですども」
 て聞ぐけど。ほんで保名ぁ、
「んだ。狐助けっどて隠したば、殿さまの家来に叩がっで、体中痛でぁぇくて、なんずしたらえんだがわがらねぁぇあだ」
 て教(おへ)だど。ほしたば、ほの娘こぁ、
「ほれぁ、ひでーめん会いあしたなぁ、見れば歩ぐなもようようですおん。んでぁ、おれぁ家さきてころ。おれぁ家にぁ誰もいねぁし、ゆっくり休(やす)で、体治さっしぇ」
 て、保名ぁ手ひっぱてくっで、おわ家さ連(つ)でえてくっだけど。
 ほうして、ほの娘この家(え)さ行(え)たば、ながなが立派だ家で、娘こ一人(しとり)で暮しったなだけど。保名ぁ、ほの娘この家で、休まへでもらて、さまざま薬つけでもらたり、飲まへでもらて、親切(すんへづ)ん看病してもらたけど。ほんでだんだん体も良(え)ぐなて、暫(すばら)くすっど、すっかり良ぐなたけどは。んでも、保名ぁ、娘こぁ親切だべし、何日でも遠慮しねで、好(すぎ)なぐれぁぇいでけらっしぇぁて言うおんだはげぁぇ、おわ家さ帰(けあえ)る気んならねぁけどは。
 ほうして暮してるうづん、二人(したり)ぁ若者(わがあえおの)同志だべ、お互(だげ)ぁぇん好んなて、二人ぁ夫婦んなたけどは。ほうして、一年(いづねん)も暮してっど、娘こぁ腹大っきぐなて、ほのうづん、子供(おぼこ)生(な)したけど。ほの子供ぁ男子供で、めんごげだ子供だけど。保名ぁ童子(どんず)丸ど名前つけで、二人ぁめんごがて育でっだけど。保名と一(えっ)緒んなた娘こぁ、名前葛の葉ていうなだけど。
 ほうして葛の葉ぁ、毎日、機織りして、ほれ町さ持て行(え)て、売て来てぁ、食うおの買て来、保名の好ぎだおの買て来て、何不自由(ふじゆう)なく暮しったけど。ほうして葛の葉ぁ、童子丸ぁどさ乳(つづ)こ飲まへでぁ機織りし、葛の葉機織てる間(えあだ)、保名ぁ、子守りして暮してるうづん、早えおんで、五年たたけどは。ほんで、童子丸ぁ四つんなたけど。ほんでも童子丸ぁ、まだ乳こ飲(の)でんなだけど。
 ほうして、ある時(づぎ)、童子丸ぁ、乳こ飲みでぁぇぐなて、機屋さ行(え)たど。ほしたば機織る音ぁしねぁけど。ほんで、童子丸ぁ、お母さんいねぁだがど思(も)て、そっと戸開げでみだど。ほうしたば、大っき狐ぁ、板の間さごろっとなんがくなて寝っだぁだけど。童子丸ぁどでして、
「お父(どっ)つあん、狐ぁいだ!おかね」
 て、大っき声出して叫(さ)がで、走してきて、保名どさ抱ぎづだけど。保名ぁ、
「なえだや童子丸。機屋に狐なのいねぁべぜ。お前何見できたおんだや」
 て言(ゆ)たば、童子丸ぁ、
「お母(つか)さんなのんねぁけ。本当(ほんとん)に、大っき狐だけ。んだはげぁぇ、おらおかねぁくて、逃(ね)げできたぁだ」
 つけど。葛の葉ぁ、朝ま早ぐから晩まで、一生懸命(けめ)なて機織てるおんだはげぁぇ、疲(くた)びっで、知らねぁうづん寝でしまて、何時がの間(こめあん)、狐んなていだぁだけどは。ほうして童子丸あ、大っき声出して叫(さ)がたおんだはげぁぇ、はっと目さましたけど。ほうして、
「ああ、童子丸に正体(しょうてあえ)みらっでしまたは。保名さんも童子丸ぁどがら、お母(つか)さん狐だけ、て聞っだべは。困(こま)たごどしてしまたは」
 ど思たども、まだ、葛の葉んなて機織りしったど。保名ぁ、
「童子丸。ほんたごどぁねぁはげぁぇ、まづ、早ぐ行(え)て、お母さんがら乳(つづ)こもらてこえ。お父つぁんど一緒え行(え)てみんべ」
 て、童子丸ぁどご連(つ)で機屋さ行(え)たど。ほうして、
「ほーら、童子丸、お母(っか)さんいだべ。早ぐ乳こもらえ」
 てやたど。童子丸ぁ、お母さんどさ抱(だ)がて、えっぺぁ乳こもらて、ほれがら外さ行て、保名ど遊んだけど。
 ほのうづん、葛の葉家さ行て、長(な)んげぁぇ手紙書(けあえ)で、元のおわ古巣の信田の森さ帰(けあ)ぇて行(え)てしまたぁだけどは。ほうして、帰ぇて行ぐ途中、童子丸ぁどご見でぁぇぐなて、戻(もど)て来たども、途中まで来て、「こんげぁぇ未練が残(のご)てぁ、とでも別れらんねぁ」ど思(も)て、泣ぎながら、まだ信田の森の方さ戻たど。んでも、なんぼ狐でも、親子一生の別れだおん、行てはみだおのの、「童子丸ぁどご、なんとしても、もう一度見ねぁでぁ、どうしても別れらんねぁ。まだこれまで仲むづますぐ夫婦でくらしてきた夫の保名さんどごも、一目もう一度見ねぁでぁ別れらんね」どもて、まだ戻てきて、家(え)の近ぐまで来て、樹の陰(かんげ)がらそっと見だど。「童子丸ぁ、泣(ねあ)でねぁべが、乳こおして探してねぁべが」ど思(も)てみだら、機嫌えぐ、保名どなんにも知らねぁで遊んでだけど。ほれ見っど、葛の葉ぁ涙出でなんずしても止まらねぁけど。んだごでぁ、あど見らんねぁ、ど思(も)えば、胸ぁえっぺぁなて、自然(しとり)で泣げでくるんだおん。ほうして葛の葉ぁ、泣ぐ泣ぐ信田の森さ帰(けあえ)て行(え)たけどは。
 童子丸ぁ、なんにも知(す)らねぁで、遊(あそ)でいでぁぇったども、ほのうづん、虫の知らへてでもゆたらええんだが、お母(っか)さんの顔見でぁぇぐなて、機屋さ走して行たど。ほうして、機屋ん中見だど。んでもお母さんいねぁおんだはげぁぇ、
「お母さんいねぁ、お母さんいね」
 て、保名どさ走してきたけど。保名ぁ、
「お母さんなの何処さも行(え)がねぁんだはげぁぇ、機屋にいねぁば、家にいだべ。家さ行てみんだ」
 て、一緒ん家さ行てみだど。ほうして、
「お母さん。お母さーん」
 て探したども、何処にもいねぁけど。あつこつ探してみだば、手紙ぁあっけど。保名ぁ、はっとして、ほの手紙開げでみだど。ほしたば、ほの手紙さ、
「保名さま。葛の葉は、お観音さまのお宮で、あなださまに助けらっだ狐です。そのおがげで、あなださまに、体中傷までつけらへで、誠に申すわげねぁごどしあした。その恩返ぇしにど思(も)て、和尚んなて、あなださまを助け、まだ葛の葉んなて、あなださまを看病し、夫婦んまでなて暮し、あなださまの子まで生(な)して暮して来たなでした。んだおんださげぁぇ、あなださまもいどしし、童子丸ぁどごもめんごくて、とでも何としても別れらんねぁなですども、葛の葉の正体狐だて分らっでしまた今どなては、つらくて、このまま暮して行ぐごどぁ出来(でげ)ねぁぐなりあした。んださげぁぇ、私は元の古巣のある信田の森さ帰ぇりあす。どうが童子丸ぁどご風邪(かじぇ)ひがへねぁよん、まだ腹痛でぁぇぐしたり、怪我なのさへねぁよんして、大っぎぐ育でで下せぁ。四つんなても、まだ乳(つづ)こ飲む童子丸ぁどごぁ、とでも手離す気にぁなれねぁですども、私(わだす)が連れてで行(え)ても、人(しと)どしては育でらんねぁはげぁぇ、どうがよろすぐお願(ねげ)ぁぇしあす。若(も)す、童子丸ぁ、乳こ飲みでぁぇてきがねぁ時(づき)ぁ、一度だけぁ乳こ飲まへっさげぁぇ、ほんずぎぁ、どうが信田の森さ連(つ)できて下せぁ。
    恋しくば 訪ね来て見よ 信田が森へ」
 て、涙の跡あっつこっつさつけっだ手紙だけど。なんぼが泣ぎでぁぇがったんだおん。
 保名ぁ、ほの手紙見っど、どでしてしまて、童子丸ぁ機屋で寝っだ狐見たていうな、やっぱり本当(ほんと)でぁぇったがど思(も)て、がっかりしてしまたけどは。
「何もおれぁ知らねぁだし、童子丸だて、お母さんが本当ぁ狐だなて知らねぁなだはげぁぇ、ほのままだんまて人(しと)んなてればえがったべぁ」
 ど思(も)たども、今さらなんずも仕方ねぁんだし、童子丸どごむぞせぁぇぐなて、保名も涙出できてしかだねぁがったけど。
 ほうしているうづん、童子丸ぁ、
「お母(っか)さん、乳こ飲みでぁぇ、お母さん、乳こ飲みでぁぇ」
 て、葛の葉どごさがしったけど。ほんで保名ぁ、
「童子丸、童子丸。お母さんなぁ、遠ぐさ行(え)ていねぁあだはげぁぇな。大人しぐして待ぢでろよ。今(えま)、お父(どっ)つぁん、飯(まま)食(か)へっさげぁぇな」
 て言(ゆ)たども、「お母さんの乳こ飲む。お母さん。お母さん」
 て聞がねで泣ぐけど。なんぼお母さんいねぁあだて言(ゆ)て聞がへだてきがねぁおんだはげぁぇ、保名も仕方ねぁ、信田の森ていうどごさがして行(え)たけど。
 ほうして、信田の森さくっど、
「葛の葉、葛の葉いだが、葛の葉やぁ、出はて来(こ)え」
 て叫がだど。童子丸も、
「お母さーん、お母さーん」て叫がだど。ほうしたば、狐ぁ、葛の葉んなて出はてきたけど。ほしたば、童子丸ぁ、「お母さーん」ていうど、いぎなり走して行て、抱ぎづだけど。ほんで、三人ぁ其処(ほご)で抱ぎあて泣(ねあ)だけどは。
 ほれがら葛の葉ぁ、童子丸あどさ、えっぺぁ乳こ飲まへで、飲まへ終(あげ)っど保名どさ、
「保名さん、私(わだす)ぁ、こうして童子丸ぁどご抱(であえ)でっど、めんごくてめんごくて、離しでぁぇぐねぁあだども、ほれも出来(でげ)ねぁべし、まして、あなだどは夫婦だったおの、別っだぐねぁ。ほうして、このまま家で暮しでぁぇ」
 て、泣(ね)ぁぇで言葉続がねぁぐなたけどは。ほうして、涙のごて、
「んだてこうなてしまてがら、今さら戻るごども出来(でげ)ねぁぐなてしまたしは、本当ん、あなたさまには命助けらっで、お礼のしようもねぁなです。今でもいろいろお世話しでぁぇども、もどもど私ぁ狐だはげぁぇ、何時がはこういう事になるど覚悟はしったなです。覚悟はしったつもりでも、いざこうして別れっどぎぁ来てみっど、何とが別っだぐねぁぐなりあす」
 て、保名の袖しめで、ほの袖さ顔あでで、体ふるわへで泣ぐけど。保名も、葛の葉の肩抱(であえ)で泣(ねあえ)っだけどは。葛の葉ぁ、泣ぎながら、「これでぁ駄目だ。どうせ一度別んねぁんねぁだおん」ど思(も)て、思いなおして、涙拭ぎながら、
「んでも、これも仕方ねぁごどです。別れる時(づき)ぁ来たなですさげぁぇ、私(わだす)の事ぁ、どうか諦めで下せぁは。どうが童子丸ぁどごよろすぐお願(ねげあ)えしあす。これきりで後あ二度ど会えあへんさげぁぇ。ほれがら、これぁ私の形見です。これぁ、聞ぎ耳の頭巾ていうおんで、この頭巾かぶっと、なんた生物(いきおの)のいう事でも、すっかり分んなです。これかぷて、八卦おぎんなて暮して下せぁ。ほうすっど、日本一の八卦おぎんなて、何不自由なく暮せぁすさげぁぇ。どうが童子丸ぁどご、くれぐれもよろすぐお願えします。童子丸どぁ、この姿で、このまま別れれば、童子丸ぁ、毎日お母さん、お母さんて、私どご呼ばて泣きあすべはげぁぇ、此処(こご)で私のほんとの正体(しょうてあえ)見へで、おかねぁがらへで別れんな、一番お互(だげあえ)未練ねぁぐ別れられる。ど思いあすはげぁぇ、童子丸にぁむぞせぁす、私もつれぁぇども、ほうして別れらへでもらいあす」
 て言(ゆ)いながら、泣(ねあえ)っだけどは。んだべちゃなや、親子夫婦の一生の別れだおの。
 ほうして、何時までも泣(ねあえ)っだて駄目だと思たぁだべ。ほのうづん、
「んでぁ、一生の別れですは」
 ていうど、いぎなり、大っき狐んなて、本当(ほんと)の姿見へだけど。尾(おっぱ)なの三本もある狐だけど。ほうすっど、童子丸ぁどでして、おかねぁがて、
「ああ、おかねぁはおかねぁは。お母さん、狐なたは。お父つぁん、おかねおかね」
 ていうど、保名どさたぐづえできたけど。ほのうづん、狐ぁ、信田の森の奥さ、しとっとびん跳(と)で行(え)てしまたけどは。ほんで、保名ぁ、おかねぁどて泣く童子丸ぁどご、だましだまし、家(え)さ帰(けあえ)ったけど。
 ほうしてなぁ、保名ぁ、葛の葉どから形見だてもらた聞ぎ耳の頭巾ずおの、試しにかぷてみだど。ほしたば、やっぱり葛の葉ゆた通り、烏がら雀がら、生物ぁだしゃべるごどぁ、何でもみな分んなだけど。
 ほんで、保名ぁ、ほれがら八卦おぎんなて童子丸ぁどご連(つ)で、あっつこっつ八卦おえで歩(あ)りて暮しったけど。ほうしているうづん、保名ていう八卦おぎぁ、大(たい)した八卦おぎだていう評判なたけど。ほんで、はやてはやて、暮しに困るよだごどぁねぁがったど。
 ほうして暮しったば、ある時(づぎ)、烏ぁ二、三羽集(あづ)まて、があがあ鳴ぐはげぁぇ、保名ぁ、烏ぁだ何しゃべったおんだべど思(も)て、聞き耳の頭巾かぷて聞でみだど。ほしたば、一(えっ)羽の烏ぁ、
「殿さまぁ、日本一の道庵ていう八卦おぎに、八卦おえでもらたば、奥方さまの病気ぁ、狐の生肝(いぎぎも)とて飲まへっど治るて言(ゆ)たそうだども、人(しと)ずおのぁ、おかねぁおんだなや」
 ていうけど。ほうしたば、別の烏ぁ、
「ああ、あれが。あれなの十年も前(めあえ)の話だべや。狐狩りしたども、狐ぁお観音さまのお宮さ入(へあえ)てえて、保名ていう人に助けらっだ話だべや」
 つけど。ほしたば、まだ、別の烏ぁ、
「日本一の八卦おぎだがなんだが知らねぁども、あの道庵ていう八卦おぎも、ええかげんだ八卦おぎだおんだ。あんた八卦おぐはげぁぇ、奥方さまぁ、治る病気も治へねぁで、十年かがてもまだ治へねぁんねぁが。あれなの奥方さまぁ、今(えま)寝った室の下さ、蛇ど蛙(びっき)ぁ、あの御殿建でっ時(づぎ)、生き埋(ん)めさっで、今だに、蛇と蛙ぁどご食うどて、二匹ぁ時々大喧嘩すっさげぁぇ、ほんで奥方さま病気んなて、まだ治らねぁなよ。んだはげぁぇ、板敷ひっぺがして、下の土(つづ)掘て、ほの蛇ど蛙ぁどご、山さ放してせぁもやっどええなよ。ほれ狐の生肝飲まへろ、なていうおんだはげぁぇ、治る病気も治らねぁんだはげぁぇ」
 てしゃべったけど。
 ほんで保名ぁ、これぁええごど聞だ。んでぁ早速お城さ行(え)て、八卦おえだごどんして、教(おへ)でくんべ。ていうごどんなて、保名ぁ、お城さ行(え)て、殿さまどさ、
「保名ていう八卦おぎぁ来ぁした。聞ぐどごによりますに、奥方さま病気んなてがら十年にもなるそうですが、まだ治らねぁていう話ですさげぁぇ、八卦おえであげでぁぇど思(も)て来ぁした」
 て言(ゆ)たば、殿さまぁ、「奥方ぁ、なんた医者に診(み)でもらても、日本一の道庵ていう八卦おぎに八卦おえでもらても治らねぁ、これぁええどさ来てくっだ。なんた八卦おきだが、試してみんべ」ど思(も)て、
「ああ、そうが、それはよぐ来てくれだ。それでは早速お前の八卦おえでくれ」
 ていうごんなて、奥方さまの顔見(め)へで、保名どさ八卦おがへだど。
 ほうすっど、保名ぁ、すっかり改(あらだ)まて、八卦おぐふりして見(め)へだど。ほうして、
「ああ、これぁとでも考(かんげあ)えらんねぁごどですども、奥方さまの寝ておられるこの室の下の土(つづ)のそごに、病気の原因(もど)ぁいるようすな。このご殿建でっ時(づぎ)、知らねぁで蛇と蛙(びっき)ぁどご生き埋(ん)めしたので、二匹ぁ今(えま)ではとでも大っぎぐなて、土(つづ)の中で大喧嘩していあすな。それが奥方さまの病気の原因(もど)のようです。んだはげぁぇ、この室の板敷へがして、土掘て、土の中にいる蛇ど蛙ぁどご、山の中さ放してやれば、奥方さまの病気ぁ、たづまづえぐなる、ど出あしたな」
 て言(ゆ)たど。ほうしたば、殿さまぁ、早速奥方さまどご別の室さ移(うづ)して、ほの室の板敷ひっぺがさへで、ほの下の土掘らへでみだど。
 ほんでも、ながなが出はて来(こ)ねぁずおん。んでも保名ぁ、「必ず出っさげぁぇ、もと掘てころ」て、まだ掘らへだど。ほうしたば、やっぱり蛇ど蛙ぁ出てきたけど。ほれもすこでぁま大っきなだけど。ほんで、みんなたまげでしまたけど。ほうして、ほの蛇ど蛙、山の中さ放さへだど。
 ほうしたば、奥方さまの病気ぁ、一日ましんえぐなて、七日(なのが)もすねうづん治たけどは。ほんで殿さまよろごで、えっぺぁごほうびくっだけど。ほれがら保名ぁ、日本一の道庵よりえれぁ八卦おぎだていう評判なたけど。
 ほれがらなぁ、保名ぁ、江戸さ出はて行(え)たど。ほうして、童子丸ぁ十五、六んなっど、八卦おぎのごどすっかり教(おへ)だど。ほうしたば童子丸ぁ利口だおんで、忽(たづま)づ一人前(いづにんめあえ)の八卦おぎんなたけど、んだおんださげぁぇ、保名ぁ、八卦おぎのごどぁ童子丸どさまがへで、おわぁ毎日酒ばり飲でだけど。ほれも昼間だてかもわねぁで、あっつの店(めへ)、こっつの店で飲(の)で歩(あ)りて、しめぁにぁ酔っぱらて、人の家の軒(ぬぎ)端んどさ寝だり、川んどごの土手んどさ寝だりしてんなだけど。
 ある時(づぎ)、江戸のお城で、お姫さま病気んなて、なんた医者さかがたて治っずあねぁけど。ほんで、殿さま困(こま)て、八卦おぎに八卦もおえでもらたど。ほんでも皆分らねぁ、ていうばりだけど。道庵も、なんぼおえでも分らねぁけど。ほうしてお姫さまぁ、だんだん悪(えぐねあ)ぐなんなだけど。
 ほんで、殿さま困て、どうしたらえがべて家来達(だづ)さ聞だど。ほうしたば一人(しとり)の家来ぁ、
「保名ていう八卦おぎの名人の子供で、童子丸ていうな居あしたども、この童子丸ていうのは、まだ子供だども、保名以上の八卦おぎだていう評判の八卦おぎぁいあすさげぁぇ、ほの童子丸に占なてもらたらどうですべ」
 ていうけど。ほんで殿さまぁ、童子丸ぁどごさがして早速連(つ)でこえて家来どさ言(ゆ)いづげだど。ほんで、家来達(だつ)ぁ、童子丸ぁどごさがして、お城さ連(つ)で行(え)たど。
 ほうしたば、殿さまぁ、早速童子丸ぁどごお姫さま寝っだどさ連(つ)で行(え)て、お姫さまどご見(め)へだど。ほうして、
「病人はこの通りだが、よぐ見で八卦をおえでもらいだい」
 ていうけど。ほんで、童子丸ぁ、ええぐお姫さまの顔見ながら、
「ああ、これはお姫さまの顔ばがり見でも分(わが)らねぁよだがら、どうがお庭先も見(め)へで下せ」
 て言(ゆ)たど。ほしたば殿さまぁ、この八卦おぎぁ妙なごどいうど思たども、障子あげらへで、縁側さ連(つ)で行(え)て、お庭先見(め)へだけど。ほんで童子丸ぁ、聞ぎ耳の頭巾かぷたまま、お庭見っだば、烏だぁ、
「なあ、裏の大将。お姫さまどさ、なんぼ薬飲まへだて、治るおんでねぁんだはげぁぇなや」
 つけど。ほしたば別の烏ぁ、
「んだんだ。八卦おぎ達だて、何見で八卦おえでるおんだが、ええ馬鹿ばりそろてるおんな」
「んだなよ、なぁに、お庭の一番大っき椿ぁ、お姫さまおわより綺麗(きれ)だて言(ゆ)われるおんだはげぁぇ、椿ぁやぎもぢやぁぇで、病気んさへだなも知らねぁでな。あの椿だて、春さぎんなっど、お姫さまに劣(おど)らねぁ綺麗だ花咲がへんなだども、ほれ家来達ぁ、へづれぁこえで、お姫さまさ、庭の椿だてかなわねぁくれぁ美(うづぐ)すぐなたなて言うおんだおん」
「んだんだ。んだおんだはげぁぇ、あんた椿なの伐てしまて、枯らしてしまえばお姫さまそんまえぐなんのになぁ」
「本当(ほんと)だ。あの椿ぁ悪(え)ぐねぁあだおん」
 てしゃべったけど。ほれ聞ぐど、童子丸ぁ、まだお姫さまの室さ戻て、こんだすっかり八卦おぎの用意して八卦おえで、
「ああ、分りあした。家来達ぁ、お姫さまどご庭の椿の花ゆり綺麗だてあんまり賞めだおんださげぁぇ、椿ぁ口惜(くやす)がて、ほんでお姫さまどさ祟ったぁです。んだはげぁぇ、あの椿せぁぇも伐れば、そんまえぐなりあす」
 て言(ゆ)たど。ほんで殿さまぁ、家来さゆいづげで、ほの椿伐らへだど。
 んでもなんずなおんだが、ほの椿ぁ、伐っても伐っても、くっでしまて、朝から晩まで伐たども、直ぐくつでしまて、元通りんなてしまうなだけど。んだおんださげぁぇ、殿さまほれ見で、
「童子丸。これぁどうしたごどだ。これではどうにもならんではないか。どうすればいいんだ」
 ていうけど。ほんで童子丸ぁ、
「八卦にはただ伐って枯らせて出だだげですども、どうも、この様子だど、伐ったばりでぁ枯れねぁようですさげぁぇ、何が一(しと)工夫欲(ほ)しよです。もう一度(いづど)心気をこらして占てみあす。それには、どうも夜がいいようです。庭の椿の側で、心をすづめで占てみあす。んだはげぁぇ、どうが明日の朝ままで猶予して下せぁぇ」
 て言(ゆ)たど。
 ほうして、童子丸ぁ、ほの晩、暗ぐなっど、椿ぬ木の側さ筵敷で、聞ぎ耳の頭巾かぷて正座していだど。ほうしたば、先づ近ぐのつづぎの精(しょう)ぁ椿んどごさ来て、
「まずまず、椿さんや。今日ぁ大変でしたな。一日中伐らっでなんぼが痛でぁがったべあ、なんてぁすや。お見舞(めあえ)きあした」
 っけど。ほしたば、椿ぁ、
「とでもとでも、痛でぁのなんのていうおんでねぁがった。まだ痛でぁくて泣ぎでぁよだおんだ」   て言(ゆ)たけど。ほうしたば、今度(こんだ)ぁ、もぐれんの精ぁ来(き)て、
「椿さん椿さん。今日ぁ見でいらんねがった。おわ切らえるよだ気ぁしては、まずまずなんぼが痛でぁぇがったんだが」
「こげぁぇた目ん遇うどぁ思わねぁがった。んでも童子丸ていう男ぁ、まだ子供だはげぁぇ、ただ伐れば枯れるどばり思てだはげぁぇえがったなよ。あれもう一工夫して、伐っど焼ぎ、伐っど焼ぎ、みな焼がっでみろ、痛でぁぇどごの話んねぁ、ほれごそみな枯らさっでしまたなよ」
 てしゃべったけど。ほれ聞で童子丸ぁ、「これぁえがった。ほげぁぇたごどすればええどぁ分らねがったんだおん」ど思(も)たけど。
 ほうして、次の日童子丸ぁ殿さまさ、
「夕べな一(しと)晩、椿ぬぎの側で、心気をこらして占なてみぁした。ほうしたば確かに伐ればええども、ただ伐ったばりでぁ、ご覧のとおり駄目ですが、伐ったかだっぱしがら焼げば、必ず枯れるど出ぁした。伐る人(しと)、焼ぐ人で十人ばり出して、伐るど直ぐ焼がへで下せぁ」
 て言(ゆ)たど。
 ほんで殿さまぁ、早速家来に庭さ火たがへで、伐っど焚ぎ、伐っど焚ぎ、幹も三つんも、四つんももえで火さくべてしまい、萠(ご)芽(よ)こぁ出てくっどえぐねぁ、ていうなで、根っ子まで掘っくり返(げあ)えして、みな火さくべで燃やしてしまたげどは。ほうしたばお姫さまぁ、次の日がらえぐなてきて、そんま治てしまたけどは。ほんで、童子丸ぁ噂の通り、たいした八卦おぎだ、これだば日本一(いつ)の八卦おぎん相違ねぁていう折紙つけらっだけど。
 ほうしたば道庵がほれ聞で、口惜(くやす)がて口惜がて、まず、あの童子丸ぁどさ八卦教(おへ)だ保名どご憎え。あの保名せぁぇもいねぁば、おれぁ日本一だぁだ。なんとしても生がしておがんねぁていだけど。
 ほれがら道庵ぁ、保名ぁ毎日あっつこっつで酒飲で歩(あり)て、酔っぱらうど、何処さだじゃなく寝で歩(あり)ぐていう話聞(き)で、さがしんえたど。ほうして、あっつこっつさがして歩(あり)たば、保名ぁ、堤(つつみ)の土手さ生えっだ桜の木さおかがって寝っだけど。ほんで道庵ぁ、保名の首、ぶつっと切てしまたけどは。
 ほうして、童子丸ぁどさ行(え)て、
「童子丸、童子丸。お前(めあえ)のお父(どっ)つぁ、堤の土手で首切らっで、死んでだけぜぁぇは」   て教(お)へだど。ほしたば童子丸ぁ、
「おれぁ家のお父つぁなの、ほんたごどして死ぬ筈ぁねぁ、人(しと)に恨みかうよだ人(しと)んねぁおん」
 て言(ゆ)たど。ほしたば道庵ぁ、
「ほんたごど言(ゆ)たて、なんだが知らねぁども、げんにおれぁ死んだどご見できたぁだ」
 ていうけど。ほんでも童子丸ぁ、
「ほんたごどぁねぁ、ほれぁ何がの間違(まぢげあ)ぇだ。まだ生ぎっだ」
「いや、死んだ」
「いや生ぎっだ」
 て、論判なて、しめぁぇにぁ道庵ぁ、
「んだら死んでだら、お前(めあえ)の首切んぞ、ほれでもええが」
 ていうずおん。ほんで童子丸ぁ、
「あーえ。必ず生ぎっだはげぁぇ、もし生ぎっだら、道庵、お前(めあえ)の首切んぞ」
 て言(ゆ)たずおん。ほんで道庵も、
「おれぁ死んでだな見できたぁだはげぁぇ、あんまりえ」
 ていうごどんなて、二人(したり)ぁ堤んどさ行(え)てみだど。ほしたば保名ぁ、桜ぬ木(ぎ)んどさ寝っだけど。ほんで童子丸ぁ、保名の側さえて、
「お父(どっ)つぁ、目さまへは。寝るくれぁ酔たながは、まず、目さましてころ」
 て言(ゆ)たば、保名ぁ、ぱっつり目開(あえ)で、もっこり起ぎできたけど。ほんで童子丸ぁ、道庵さ、
「道庵さん、この通りだ。約束だはげぁぇ、お前(めあえ)の首もらうぞ。えがべ」
 て言たど。ほんで道庵も仕方ねぁ、「んでぁえ」ていうなで、道庵ぁ童子丸に首切らっでしまたけどは。ほしたば、保名の首もぽろっと落(おち)だけどは。とんぴん からんこぁ ねぁっけどは。
(集成一一六「狐女房」)話者 高橋良雄 
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