52 マキ渕

 昔、染屋さ使う灰焚きしたもんだど。今頃の暑い節でもあったんだが、暑くて
暑くて、戻ってきたんだど。
「どこさ行くどご。この馬鹿野郎」
 と親しみをこめて言うたど。
「川さ水浴び行くんだ」
「川泳びなら、河童には引かれんなよ」
 て。ところがなんぼ待ってでも帰って来ねがったど。きて見たげんど、居ねて
いうんだど。たしかに入ったもんだげんど、深くて深くて沈んだもんだ。こいつ
は河童のしわざだというたもんだど。
(砂子関・工藤かなえ)
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