42 屁たれ嫁

 働く嫁きたけど。お姑さまが聞くなだけな。
「なえだて、お前な顔、ほだえ青くなって、なえだほりゃ」
「かぁちゃん、かぁちゃん、おれぁ屁ぁ出たくて仕様ないなよ」
 ていう。
「なんだ、なぁ、屁なの出たいなら、たっだらええなよ」
「んだらば、かぁちゃん、アテギさたづいてでけらっしゃい」
「なえだや、アテギさ、たぐついて呉ろなて…」
「アデギさ、たづいてけらっしゃい」
 お姑さま、アテギさたづいっだところぁ、屁たっだていうなだねぇ。お姑ばさ
ま、吹っとばさっで、屋根裏まで飛んだ。
「嫁や嫁、屁口とめろ、屁口とめろ」
 て、ほうして手木(てきぎ)持って行って、尻の穴ささしてとめだ。したれば、ズズラ落っ
できた。ほして、
「とにかく、こだな嫁では、おれ置かんね」
 て、追出さっだど。ほして、ほっから出はって行ったところが、栗ほろぎしっ
たのがいだったけど。なかなか、栗ほろっけんども下手でほろがんねくて、高く
て、ほれから、
「おれ、ほろって呉っから…」
 て、尻まぐって屁たっだ。そしたら栗ぼろぼろ落っだていうなだな。ほうして
えらい褒めらっで、褒美いっぱいもらって行ったていう話だど。
 褒美もらってまた行ったれば、梨もぎしった。ところがそこでもまたもがんね
くていたど。屁でまたほろってけだ。ほこでも褒美もらって、えらい嫁て言わっ
だど。そして屁で出世したんだど。
(砂子関・工藤馨)
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