25 地蔵浄土

 ええじんつぁとばばさいだど。
「じんつぁ、じんつぁ、団子上げて食うべなぁ」
 ていだれば、団子がひょいっとねずみ孔さ入って行ったんだど。ほしたれば、
ほこさ行って、ほの穴ぽこさ入って行ったればよ、ずうっと入って行ったれば、
中広くて、ええどこだど。ほうしていたれば、赤い鬼だか青い鬼だか、なえだか、
「はぁ、じんつぁ、あの団子搗いて呉(け)だ、じんつぁ、お土産もってきたんだ。ほ
んじゃ」
 ていうたど。ほうして御馳走食せて呉で、ほして踊りおどって見せて呉(け)だど。
じんつぁ御馳走なって喜んでいたれば、鶏は鳴いだんだど、一番鶏が。
「一番鶏ないたぞぉ」
「まだ、ほんでは差し支えない」
 また一生けんめい踊って見せて、歌って聞かせるほで、
「ほれ、二番鶏ないたぞぉ」
「さぁ」
 なて、じんつぁ、ほだえしていたうち、
「三番鶏ないたぞぉ」
 なて言うたれば、こんどは明るくなってはぁ、鬼だ、どんどん逃げて行ったん
だど。ほうしたればじんつぁ、宝物いっぱいもらって来たんだど。ほしてじんつぁ
喜んで、ええじんつぁだはげ、お土産いっぱいもらって来て、ばんちゃさお土産
もらってきて呉(け)だんだど。
 ほうしたれば、隣のじんつぁとばんちゃ、いつも根性悪(わ)れじんつぁとばんちゃ、
ひこばんばなぁ、ほれ、真似かすして(まねごとして)行ったていうなだ。ほし
たら、
「また、じんつぁとばんちゃきた」
 ほしてこんど、鶏のまねして早く帰っど思って、鶏の真似したんだどはぁ。じ
んつぁ、ほだえいつまでも食っていっど無くなっど思って、
「さぁ、一番鶏ないてきた」
 ほして二番鶏ないだど。
「なえだて、二番鶏、こだえ早く鳴く」
 こんどは三番鶏ないだば…。
「こだえ暗いうち鳴くなて…」
 ほして、じんつぁいじめらっで、利息たがりじんつぁだて、いじめらっでいじ
めらっで、ほうしてお土産どころか、血だらけになって来たけどはぁ。んだはげ
嘘まかしたり、欲たけだり、さんねずなぁ、お前だ。どーびんさんすけ。
(砂子関・悪七)
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