24 桃太郎

 じんつぁは山さ柴刈りに、ばんちゃんが川さ洗濯に行ったど。ほしたれば上の
方から桃流っできたど。白い桃と赤い桃とな。ばんちゃ、赤い桃ええくて、
「白桃、んなくて、赤い桃こっちゃこい」
 ていうたわけだ。ほして、赤い桃がこっちゃ来たなを自分が拾って家さ帰って
きたわけだ。
「じいちゃん来てから、二人で、ほの桃割って食(たべ)んべ」
 て、神棚さ上げておいたど。ほしてばんちゃんが待ってだのよ。ほしてじいちゃ
んが来たとき、二人で包丁を入っで食うべと思って割っど思ったら、
「そっと割れ、そっと割れ」
 て、桃の中から言うなだど。ほして桃の中から生まっだから、桃太郎て名付け
たなよ。
 ほして大きくなって、大事におがしたど。
 こんど鬼が島さ鬼退治に行ぐて、キミ団子ついて、腰ささげて行くと、途中で
キジに、犬に猿に行き会ったど。
「おらも行ぐはげ、キミ団子一つ呉でけろ」
 て言わっで、キミ団子一つずつ呉だんだけ。ほして行ったなだな。一番最初飛
んで行ったの、キジだな。何(な)じょなもんだか見に行って、それから桃太郎に犬に
猿に行ったったな。青鬼、赤鬼、みな鬼ば降参させたら、奥から年寄りのばさま
出てきて、宝もののあっどこ教えてもらって、宝ものもらって帰ってきたど。
 犬と猿とキジていうのは仲わるい奴で、そいつを桃太郎が手につけた話だど。
(砂子関・工藤あきえ)
>>西川町の昔話 目次へ