22 桃太郎

 とんとむかしあったけずまなぁ。
 じんつぁとばんちゃいだっけど。ほして、ばんちゃ、川さ洗濯さしに行ったれ
ば、大きな桃流っで来(く)っけど。大きな白い桃と青い桃流っでくっけど。
   大きな桃 こっちゃこい こっちゃこい
 ていうたけど。ほして、ばんちゃ、ひょいっと拾って来たなだ。ほうして、ば
んちゃ持(たが)って、やっと家さ来たど。
「なえだて、じんつぁ、こだえ大きい桃拾ってきた。割って食ったらええなぁ」
 て、大きな桃。じんつぁ、
「ほだなぁ」
 て、割って食うべと思ったれば、おぼこ生まっだていうなだ、ほれ。
 そのおぼこ、めんごくて桃太郎て名つけたなだはぁ。
 大きくなったら、その桃太郎、鬼が島さ行くとき、キミ団子、ばんちゃ、こしゃ
えで呉だんだど。
 一番先に犬ぁ来て、
「桃太郎さん、桃太郎さん、キミ団子一つ呉(け)でけらっしゃい」
「おれは鬼が島さ鬼退治に行くから、お伴するごんだら呉る」
 て、呉だんだど。それから猿ぁ来て、キジも来たど。ほして車ひっぱって行っ
たれば、今度、鬼が島さ行ったれば門が閉だってだ。ドンドン叩いたげんど、開
けらんねほでに、キジがとんで行って開けたんだど。ほして入って行ったんだど。
ほしたれば赤鬼なんだか青鬼なんだか、いっぱい居て、犬はワンワンとかかって、
猿はガチャガチャとして、降参させて、宝ものとって車さのせて、エンヤラヤ、
エンヤラヤて引っ張ってきたんだど。
(砂子関・悪七)
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