11 猿蟹合戦

 猿が柿の種子拾って、蟹のヤキメシと取っかえっこして、蟹は種子植えだど。
ほしたら柿の木たちまち大きくなって、柿実(な)った。ほして柿実ったら、猿は柿とっ
て呉るきて、赤い柿を自分で食って、青い柿、蟹さぶっつけたど。
 ほしたら、栗、蜂、臼、ビダクソ、小ガニと針がきて、みな集まって相談した
ど。みんな猿の家さ入って、栗は囲炉裏の口さ隠っでで、ミソ桶に蜂、水舟に小
ガニ、寝床に針、戸の口にビダクソ、屋根の上に臼がかぐっでいたど。
 猿は帰ってきて、囲炉裏の中かき廻したら、栗がはねだ。猿は熱くて火傷(やけぱた)した
がら、味噌桶さ行って手入れっど蜂が刺したど。
「いたたた…」
 て、水舟さ行ったら、小ガニが水舟で猿をはさんだ。ほして、こんでは駄目だ
と床の中さもぐったら、針がチクリチクリと刺すわけだ。ほんでこりゃ駄目だて、
戸の口から逃げっど思ったら、牛のビダクソにすべって転んだ。そこさ、屋根の
上の臼落っできて、そして仇とらっだど。
 んだから悪れごどはさんねなだ。どーびん。
(砂子関・工藤あきえ)
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