18 南の山の馬鹿聟

 オカタの家さ招(よ)ばっで行って、団子汁して食せらっだと。そしたれば団子うまいから家さ来て、オレも拵えて食せてもらうかと思って、忘れっどわるいから、
「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」  と語って来たれば、大きい堀あったど。そこを、
「どっこいしょ」
 と、はねたら、
「どっこいしょ、どっこいしょ、どっこいしょ」
 と言うて家さ来るより早く、
「オッカァ、どっこいしょ拵えて呉ろ」
 と言うたと。

 「南の山の馬鹿聟」という言葉がよく使われるが、話は省略されてしまったものが唯一見つかった。もっといろいろあると思われるが…。
(大橋 三瓶ちの)
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