(2)死んだ馬が草食う

 左平がまたある日、
「いや、とんだもの見てきた。今日は。死んだ馬が草食ってだな見て来た」
「なんぼ馬だって、死んだ馬が草食う話なんて、あったもんでない」
 と言ったところが、
「実際、あそこで食ってだから行ってみろ」
 と、行ってみたというごんだ。そしたら、死んで、馬が腐っていたもんだから、ぷんぷんすばらしい匂いしていたんだと。
「ほうれ、死んだ馬、草食ってだべ」
 と、左平にだまされたと。
(大橋 川井弥右衛門)
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