8 笠地蔵

 あるとき、おじいさんとおばあさんと、凍(し)み豆腐作って町さ売りに行っていたと。おじいさんがツメぎわ(大晦日に近い日)になって、帰りかけに村の入口に地蔵さまが立ってござったんだと。その地蔵さまが、まず節(せつ)も節なもんで、雪落ちて来るもんで、真白になっているもんだから、売上げの銭でクゴ帽子(クゴで編んだ防寒具)買って、おじいさんが地蔵さまさ着せて来たんだと。
 そうすっど、おばあさんは、おじいさんが銭を持って来ると思って待っていたんだごで、
「今日は、こういう訳で、お地蔵さま、あんまり雪に埋もってむごさいようだったから、クゴ帽子買って着せて来たから、銭は一銭も持ってこね」
と言うたど。
「ほんじゃ、ええことしたなだも、今日など御飯(おまま)など食(か)ねったって、味噌煮にしてでも食うべ」
 というわけで、おじいさんとおばあさんは、晩方になってから、少し残っていた御飯を味噌煮にして食ったんだと。
 そして、寝たば、
「けんぞうじじい」
 と何か来たと。気味わるくて、二人して、
「何者来たんだべな」
 と語ってたげんど、二人ですくだまっておかなくていたらば、段々、その音が家さ近づいて来るなだと。そして、「ガラー」と戸開けて、何か「ザザー」とすばらしい音して置いて行ったんだと。何だべと思ったげんど、とにかく気味わるいもんだから、まず明るくなるのばり待っていたんだと。
 明るくなってから、起きて来て見たれば、すばらしい小判の山が台所さ積っていたんだと。クゴ帽子のお礼に、小判置いて行ったんだと。
 その小判を使って、おじいさんとおばあさんはうんと幸わせに暮したど。んだから何でも親切にさんなねもんだと。

 東北地方の代表的な昔話で、置賜全域どこででも聞かれるものであるが、その地方により、地蔵の数が六地蔵であったり、ツメ買物に行く場所がその地方の中心地となるし、地蔵さまにかぶせるものも地方の特色を示す。尚「上野」での話もクゴ帽子をかぶせるという点では同じであった。
(宮原 山崎ヨシエ)
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