7 蜂出世

 ある日、子どもら二人三人して、蜂(すがり)とって、いまいま殺すべに掛っていたとこに、通りかかった男いたったと。その男は、
「お前だ、なんだ。そがえいじめて蜂ぁ死ぬでないか。むごさい。(可哀そう)そんじゃ、その蜂三銭で買うから…」
 と、銭をやったわけだどな。そして、銭を呉れたら、子どもらは銭もらったもんだから、喜んで蜂をその男のとこさ渡したわけだ。蜂はぶーんと飛んで行ったどはぁ。どこさ飛んで行ったか、わかんねげんど…。
 ある家で聟とりだったと。その家はすばらしい財産家の山持ちなもんだから、
「この杉林の杉の木数えた人を、オラどこの聟にすっから」
 と言うたもんだと。
 誰が行っても、杉の木は数えらんねがったんだそうだ。あんまりいっぱいでよ。そうすっど、その男は、
「ほんじゃ、オレ行って数えて来る」
 と行ったところが、蜂がぶーんと飛んで来て、杉の木の数、数えたと。
「三万三千三百三十三本だ」
 と蜂は教えたと。そうすっど、その男が大金持の聟になられるもんだと思って、喜んで行ったというわけだ。そして、
「数えて来たか」
 と旦那に言わっで、
「数えて来ました」
「何本あっけ?」
「三万三千三百三十三本だ」
「ほんじゃ、お前、当ててくれたから、オラとこの聟になってけろ」
 と言わっで、大金持の聟になったと。とうびんと。

 財宝発見話のうち、「味噌かい橋」や「藁しべ長者」系のもので、置賜地方では初めての発見であって、貴重である。
(宮原 山崎みやの)
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