1 瓜姫子と天邪鬼

 むかし、おじいさんとおばぁさんいだったと。その子の瓜姫子は機織り上手だったと。
「今日、町さ用あって行ってくっから、天邪鬼来て機織り見せろと言わっだて、決して戸を開けんなよ、決して戸を開けんなよ」
 と、瓜姫子さ言うて行ったと。
 んだけんど、天邪鬼は聞かないで、
「開けろ、開けろ、開けろ、開けろ、ちいとてええから開けろ」
 と言うので、ほんに僅か開けたばりで、そこからびりびりと入り込んで、瓜姫子どこを殺して、縁の下さ置いて、天邪鬼は自分が瓜姫子になって、一生懸命で機織りしったと。そうしたところさ、夕方になって、おばぁさんだち帰って来て、「瓜姫子」と呼ばってみたらば、「はい」と返事して、行ってみたらば、化物なもんだから、魂消(たまげ)て、
「天邪鬼だこれ」
 と思って、「これはしたり、これはしたり」と思って、瓜姫子は何処さ行ったべと思って、そこらここら探したれば、縁の下さあったと。
 空飛んであるくカラスぁ、
瓜姫子の機さ
あまのじゃく 乗りこんで
キーコ・パタン
 と、三回啼いたと。
 そして、おじいさんとおばあさん、くやしくて泣いたと。とうびんと。

 後半に「天邪鬼を殺してソバ畑または萱野に投げて来たのでソバの根または萱の根が赤いのだ」という話が抜けている。
(宮原 山崎みやの)
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