51  糖福と米福 

 おかぁさんとおとうさんざぁ、糠福という娘出きてな、おかぁさんざぁなくなったなよ。おかぁさんが逝くなって、こんどは後妻をもらったわけだな。米福という女の子出たなよ。そうだげんども後妻だから、糠福は可愛くないわけだ。憎くてはぁ。そうしているうちに、大きなツツミのところさ行って、糠福じゃ泣いたそうだ。そうしたればツツミの中から、先のおっかさんが出て、そしてその、
「いま少し過ぎっど、ここにお祭りあるからその時、その行く時の装束だ」
 て、着物をもて来て、しまっておいて、やっぱりお祭りあったごで。そしてお祭りさ行くとき立派な装束して糠福は一番後から、米福とおっかさんは先に、まず出て行ったそうだな。そして立派な装束して行ったもんだからはぁ、姉の糠福ざぁ分んねがったど。そうすっど大したええお嬢さまだから、殿さまは、お嫁に欲しいと言うたど。そうすっど、
「いやいや、こいつは家の後とりだから、大きい娘。この小さい方だら呉れる」
 て言うた。んだげんど殿さまは、
「大きい方もらいたい」
 て、そうして、
「小さい方呉れる」
 て言わっでなぁ、何とも仕様なくて、歌よみしたてだな。十枚皿重ねて、その一番上のさ塩をあげて、そして松の木の枝を置いだほだ。そして、
「こいつさ唄詠んだ人をお嫁にもらう」
「妹の方だか、姉の方だか」
 て、そしたら姉の方ぁ詠んだそうだな。
    バンサラヤサラ
    皿十山に雪ふりて
    雪を根として育つ松かな
 ていう唄だな。そんで大そうええ品のある歌だて言わっで、そしてお殿さまのお嫁にもらわっだのよ。
 そしたら、妹も行きたいというもんで、大そう泣いたど。そしたら、
「お前など、殿さまのお嫁などに行かんね」
 どて、おっかさんに叱らっではぁ、泣き泣き往生で、終えてしまったど。とーびったり。
(男鹿てつの)
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