46  さとりのお化け 

 むかしあったけど。
 一人者がカンジキ曲げしったどこさ、狸ぁ化けて来て、その親父ば化かすべと思っていたど。そして囲炉裡さ当って、狸の化物ぁカイポ伸ばししはじめたど。そしたらカンジキ曲げしったな、まさか、はじけんべと思わねでいたとき、ぱぁっとカンジキの木はじけたもんだから、狸の方は、そいつにはじがっで、負けたど。親父、心にもないことで狸を負かしたんだど。とーびったり。
(大石きみよ)
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