36 鶴女房 

 雨降りの晩に、泊めて呉(け)ろて来て、女の人が…。そして泊めだってな。そしておじいさんのいたどこさ来て、先におじいさんが鶴を助けたわけだな。そしていろいろ女の人いねもんだから、炊事の方などやってくれて喜んでいたわけだべ。そうすっどこんど、機織りするって、機織って呉れたど。きれいな機を織って、そして喜んでいたとこぁ、
「どんなことして、あんなきれいなハタ、何も材料もないのに織るもんだ」
 と思って、おじいさんがソォッと見たらば、鶴が自分の毛をパッパッと取ってそしてそさ織り込むどこ見つけたごんだ。そして、見つけらっだもんだから、見つけらっじゃなんで言わながったげんど、ちゃんと悟って、そしてはぁ、
「おれはいらんねから帰る」
 て、そして帰って行ったってな。とーびん。
(男鹿せん)
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