24 鬼むかし 

 三人娘ぁいて、うしろ三反、前三反、そいつさ水かけて呉れる人あっこんだら、娘三人持ったな、呉れるって、じじ頼んだところ、そしてええ男になって、水かけて呉れるって、鬼が来たど。そして、
「おれの恐っかないのは、菖蒲とヨモギだ」
 て言うのを聞いて、鬼から逃(の)がっできて、家さたちまち菖蒲とヨモギさしたってよ。そしてその家の前まで来たげんど、その鬼は菖蒲とヨモギさしてたもんだから、入りかねたど。それをきっかけにして、菖蒲とヨモギと五月節句にさすんだど。
(鈴木ひろ)
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