2 オタタカ鳥

  兄んちゃが目見えなくなって、その弟が貞心なもんで、うまいものに、うまいもの、兄んちゃに食(か)せんのな。そしたれば、
「おれにさえもこんなうまいもの食せるもの、弟などなんぼか食ってんべ」
 て殺したごんだど。そして殺してみたところが、さっぱりうまいものなどぁ食っていねがった。
「おれにばりうまいもの食せて呉っじゃなてあった」
 その罰てはぁ、オタタカ鳥、「オンチョンかけたか、オタタカチョウ」て、八千八声鳴かねじど、御飯食んね。高いどこにばりいる鳥でな、決した下さ落ちて来ね鳥で、何時のこまにモノ食うもんだか、モノ食う隙などないように鳴いてる。口の脇から血出して鳴いてる。
(佃 すゑ)
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