1 オタタカ鳥

 むかしあったけど。
 兄弟て、弟がやっぱり山さ行って、トコロ掘ってきて、ゆでて、兄さんが食べて残したおいたな、兄ぁ帰ってきて、
「こがえに、おれのとこまで、ええどこ残しておく、弟がなんぼかうまいとこ食(く)ったべ」
 て、そして弟の腹さいて見たど。そしたらナガクビの細いところばり食ってだ。 「ほんじゃ、おれ、悪いことした弟の申しわけに、八千八声なかんなね、一日に」  オトオトコイシ、オトオトコイシて…。
 そして、餌とって食うひまもなくて、モズは木の股さ、いろいろなもの取って引っかけて置くのあるもんだでぁ、こいつぁオタタカ鳥、声数喋んなねくて、餌とって食うひまなくて、そいつ取って食うな、掛けでで呉れっど。
(小坂 男鹿てつの)
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