81 山鳥むかし

 朝げに早く起きて、そのじじが窓はらいしたら、山鳥が吹きなもんだから、軒場さ突っ伏(ぷ)しったな、獲って、
「ばば、ばば、今朝拍子ぁええ、山鳥おさえたから、おれ入るまで煮ろ」
 て言って、ばばが煮たわけだ。そして一生懸命になって煮て塩見っだど。とてもうまくて、うまくて、塩見して、ばば皆食ってしまったど。そして、そのばばとても脂っこいし、うまくて、じじ入って来るまで皆食ってしまった。したら、猫当ってたな、猫殺して猫煮たわけだじも。それにばばのチンコも煮たど。
「たんと、撓(しな)いもんだ」
 て、じじ入って食べたら、烏が来て、
撓いもくさいも道理だな
猫のチンコ カタカタ
ばばのチンコもカタカタ
 て烏ぁ何度もさやずるんで、じじにせめらっだど。んだから、そんな馬鹿なことするもんでない。むかしとーびったり。
(後藤とよ)
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