78 篩借り

 座敷掃いたら、大きな豆出はったど。そして、
「じじ、じじ、大きな豆出はったぜ」
 そしたば、じじぁ起きてきて、
「半分は種子、半分は豆の粉にすんだ」
て言うた。そしてこんどぁ、半分は種子、半分は豆の粉にすんべて、カンコカンコて、豆の粉にした風だけな。
「ふるうから、篩借っでこい」
 て言うたど。
「篩借りに次郎太郎さ行くど、黄粉食いに来っから、褌の端出してふるげ」
 て言うたど。そして褌の端出してふるってるうちに、隣に次郎太郎ていて、そいつ聞きつけてきたどこだけな。
セーガキ コガキ
道の傍のコモン草
鎌にかけてもええよだ ええよだ
 て、次郎太郎ぁ来たから、じじとばばぁ、
「ほら、次郎太郎来て、黄粉食っでしまうぞ」
 ているうちに、じじ屁むぐったごんだどな。そしたら黄粉ぁボホ、ボホ、ボホて薮の笹の葉さ喰っいで、みんな、
「誰それさん、誰それさん、黄粉なめに行かねか、あえべ」
 ていたど。そしてペタペタ、ペタペタとなめたど。とーびったり。
(大石きみよ)
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