1 うらのじさの木さ

うらのうらの じさの木さ
雀が三羽止まった
一羽の雀のいうようは
むしろ三枚 ござ三枚
六枚屏風を立てまわし
ゆんべござった花嫁ご
ホロリホロリと泣かしゃんす
何がくやしくて泣かしゃんす
何もくやしくなけれども
おらが弟の仙松は
七つ八つから金掘りに
金が出たやら出ないやら
金山くずれて死んだやら
一年もよってもまだ来ない
二年もよってもまだ来ない
三年三月で状が来た
なじょな状だか読んでみろ
おせんに来いとの状だもの
おせんはまだまだやられない
衣裳の一つも着せてから
帯の一つもさせてから

前のお寺さ参らせて
うしろのお寺さ参らせて
おせんの袂さ血がついた
血でないもの 血だ血だと
ゆんべ化粧した
紅だもの紅だもの
(井上元一)
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