八幡太郎のうれしや沢

 八幡太郎義家が安部貞任と戦って敗けそうになって、ここの「うれしや沢」に
かくれたど。そんで家々を探したげんど、どこにもいね。そん時、八幡太郎はそ
こにあった大きな漆の木の太いのに、中が洞になっていたのがあって、その中に
入っていたら、その入口にクモの巣がすくって、敵がタイマツかざして来たげん
ど、入口にクモの巣あったもんだから、「入口にクモの巣はっているんだから、人
が中に入るはずはない」て言うて、難をのがれたもんだから、「うれしい、うれし
い」と言うて、「うれしや沢」ということになったんだど。
(後藤)
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