南の山の馬鹿聟話熱つ山

 まいど、嫁もらったてよ。そしたらお姑さまと嫁さま、団子つくりしたど。そ
したら腹へったべちゃ、嫁なんて。何も食せらんねくてなぁ、団子こしゃえして
一生けんめいこしゃえで、塩梅(あんばい)見してみっかと思って、ちょっと食ったればよ、
そしたら熱くて熱くて、しょうないげんども、そのうちお姑さま来たずも。ちょ
えっと分かんねもんだから、
「その、おっかさ、あそこの山、何の山だべ」
 て言うたど。そしたら、
「あれは〈アツツさまさず、のど焼け団子山だ〉
 て言うたど、そのお姑さまがよ。嫁さまは、
「ああ、おら家の方の山の〈アテヅキ山〉に似た山だなぁ」
 て言うたど。
(平井とよ)
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