糠福・米福

 むかしなぁ、あるところによ、糠福が先妻の子で、米福が後妻の子で、いだっ
たど。そして、毎日掃除だの、いろいろなこと糠福ばかりさせらっでいたらしい
んだな。いじめらっでいだんだど。
 あるお祭りの日に、
「今日はお祭りだから、早く米福、終(おや)して、お祭りさ行げよ」
 て言わっで、そして、
「糠福は、お前は、家に留守居していらんなねからな。この米搗いておけよ」
 なて言わっだど。そして米福は喜んで、そのお祭りさ、ええ着物を着せて、そ
のおかぁさんが車さのせて、連(つ)っで行ったら、糠福の方は自分も行きたくて、自
分も行きたくていだげんども、おかぁさんに行くなて言われるもんだから、我慢
しったら、前のお母さんがでてきて、
「これは、三度さえも振っど、お前の願いごと何でもかなうなだから、これ、欲
しいものあったり、また自分の願い事のときは、こいつ三度振れ」
 て教えらっだど。そして自分もこんどお祭りさ行きたくなったもんだから、
「ええ着物出ろ」
 て、三度言うて振ったらば、着物とってもええものばり出だどがてな。そして
「下駄出ろ」「車出ろ」どかて言うたら、みな出て、そして用意して行ったど。そ
して行ったら、米福も見っだけ、
「あれれ、姉さん来った」て言うたら、
「姉さんなて来ねごで、家で米搗きしったもの来らんねごで」
「ほだたて、似た人だ」
 どかて言うたど。糠福は早く家さ帰って来たらしいんだな。そして何か思い出
したんだが何(なえ)だか、車ぐるぐると井戸のぐるりのせて走ったらば、その米福が井
戸の中さ入って行って死んだどか。自分で継子いじめたから、罰当ったんだど。
とーびんと。
(平井とよ)
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