36 朝茶は千里もどっても飲め

 旅人が二人で来たった。「一服のんでごんざぇ」て、朝げ言葉かけらっだって。 そしたば一人の方は一服も飲まねで、
「いや、おれ行くべはぁ」
 て、飲まねで行ってしまったど。もう一人の方は、
「ほんじゃ、一服ごちそうになっか」
 て飲んだ人の方は雪崩に会わねで、先に行った人は雪崩で死んでしまったど。
んだから朝茶は千里もどっても飲めというもんだ。
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