29 餅のはなし

 小菅(米沢市広幡)あたりで、餅食いだがったど。んだげんど相連(づ)れさんねん だな。寺の和尚は越後から来たとかという和尚いだったど。その和尚を頼んでき て餅搗きやった。餅ふけたもんだから、
「臼洗ったべな」「洗った」「ほんじゃ、ええ」
 なて、ガラッと開けて搗いたべ。相連(づ)れはじまった。和尚は得手だ。やったわ けだべ。今度トーンと搗いて返したら、鳥の糞(かえし)あったずも。和尚、
「何(なえ)だ、洗ったなて言うぁ、さっぱり洗わね」
  そしたれば、
「一昨日洗った」
「一昨日洗ったのか、よろしい、よろしい」
 て、和尚は糞とってぶん投げたど。
(遠藤昇)
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