28 三升ぼたもち

 おら家(え)どこに、じんじぁいだったも。風邪だかひいて寝っだったも。そうすっ ど、ばばいた。
「ぼたもち食いたい」
 て言うた。
「食いたいなて、ばばも食ってもええ」
 と思って、病人なて大(たい)して食うまいなて、三升炊(ふか)したど。そして一生懸命になっ て、ばば、ぼたもちしたわけだ。
「じじ、食え」
 と言うたれば、じじは一人っこで一つ残した。
「かつけなもの(こんなもの)一つばり食ったらええがんべちゃえ」
 て言うたらば、じじは、
「それ食うごんだら、おれ寝てんなねべちゃえ」
 て、じゃみだけど。
(遠藤昇)
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