10 鶴女房

 子どもらが鶴ばいじめっだけど。ある男がそれを助けてくれたそうだ。助けらっ だ鶴が女に化けて男のとこさ嫁に来た。そしてその嫁は、
「おれが機織ってるどこ、決して見ないで呉(く)ろ」
 て言うてだそうだ。男はそれば守って、見ねでいたそうだ。暮しも楽でないも んだから、その機織って、みな売って、まず安態に暮しったそうだ。そいつまず、 旦那も不思議に思ったべ。そんがえな、まず機織りして、どっからその糸もって 来っかていうこと分かんねで、機織ってる。んだからのぞこんで見たそうだ。 そしたばにわかにはぁ、毛一本もないように、鶴になってよ、裸になって機織りしっ たてよ。自分の毛をみな機に織ったもんだべ。そしたば、
「おれの正体、お前に見らっだから、お別れだ」
 ていうわけで、鶴はいねぐなったそうだ。その機は漆山の珍蔵寺に残っている そうだ。とーびんと。
(小関清輝)
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