-(8)屁ったれ女中-

横尾高治
 ある旦那衆どこの女中いだけそうだ。その女中は、まず、屁たれ女だったていうんだけな。ほだはげて、その旦那で夜番にええていうので、そういう女ば置いだんだけどな。女中によ。
 ところがそこさ盗人は、時刻も寝頃になったので、忍んで来たっけべぁ。その時刻になっど、ダンダ、ダンダて屁たれっど。んだはけて、そこさいた盗人も、ちぇっと気掛りで入らんねくていたなだったね。そしてしばらくして入ってきて、女中の尻(けつ)さ胡瓜のつるがらみのを押し伏せらっだんだど。そしたらその「ダンダ」止まったずほれ。そしてこんど忍び込んだったべちゃね。ところがいよいよ入って来んべと思ったら、あわててつるさ引っかかったていうんだな。そうすっど盗みの現場さ行かねうち、だんだん始まって、ぐいら取ったので、中さ溜ったな。
ダンダ、ダンダ、ダンダ…。
 て、うんと早く言うたていうなだな。それから盗人たまげて、物盗んねで逃げたていうなだな。どんびん。
(横尾高治)
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