-(6)初夢-

八島与三郎
 ある一人の男、夢を見たていうわけだ。なんだかこの夢は気にくわねくて仕様なかったていうのだなれ。それから隣の親父さ、まず遊びに言った拍子に、
「ゆんべな、おれぁこだな夢見て、うす気味わるくて仕様ない。なぜかほれ、あそこに八卦置きもいたし、なぜか夢判断してもらったらええべといたどこだやれ」
 したれば相手の親父は、
「おれも、ゆんべな夢見たな、ほれ、んだげんど、おれぁうんと気持ええ夢で、何かうまいことあっかといだのよ」て、こういうわけよ。お互に夢見たていうわけだ。ということは、まずい話だげんども、夢見て気持悪れていう人はダンベ大きいて大きいて、くるぐるここらさくるまいてる夢見たてのよ。片一方はカマスさ金でも入った夢見て、これはええ夢だと思ったてなよ。 「片脇はホカホカている。片脇は気分悪れ、なぜにもこいつぁ判断してもらわねごどには、気持悪れくて仕様ない」て、こういうわけだ。そして二人は行ったてわけだ。ところがええぐない夢見た人から、まず、
「そういう夢見た。なんだか気持悪れ、何とかこいつぁ何故判断してくれらんねが」
「よしよし」
 一方は一方で、
「おれはこういう夢見た。こいつぁ何故判断してくれるなだ。おれも判断してもらいたいなよ」て、お互に出たていうわけだど。そうして最初のええぐないと思った人には、
「これぁ、とてもええ夢だ」て、こう言わっだずまな。一方はええと思ったげんど、
「こいつぁ、なぁ、あんまり感服しないな。こりゃ」なて言わっだていうわけだ。
「こいつはどういうわけだべな」て言わっだった。そして易者のいうことには、
「一方は大きくなって中さ入ってええぐなっているにも関らず、子孫繁栄の夢だ。一方は袋を下げて戸の口に待ってる乞食の夢だ」て、判断さっだていうわけだど。
(八島与三郎)
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