5 田の神団子

 昔あるところに、貧乏な家があって、かがが毎日のように、人の荷物を背負ったりして暮してだっけど。十月十五日は田の神様が山の神様に上がるので、その年のお礼とでも言うか、「団子を上げるのが、うちの方のならわし」。その年も十五日になったけど。そのかがは団子など、はたいていらんないがらどて、稲の穂を上げて荷背負いに行ったど。そしたら、うしろからピチャピチャと足音がして、「うんが子、火さくべて呉(く)っだ。うんが子、火さくべて呉っだ」ていうがら、うしろ見ても誰もいながったど。何だか気ぃもめで、家さ帰ってみたら、子どもが火傷(やけぱだ)してであったど。ほんだから、ずるいことするもんでないど。


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