21 兄弟話

 むかしあったけど。
 あるどこに大勢の子ども持ったじんつぁとばんちゃいであったど。子ども大勢のために、働いても働いても身上はよくなんねがったど。そしてはぁ、とうとうはぁ、子ども大きくなったども、何にも与えらんねで死ぬようになったずも。そん時、父親、子ども皆集めて、
「お前だには、何も残して呉れっことでないようなもんであったども、おれぁ、金瓶(かめ)、裏の畠さ埋めておいたから、どこだなんて教えねども、お前だで一生懸命で畠、隅から隅まで掘ってみろ。そうすっど兄弟ではぁ、一生懸命で毎日、三尺も深く掘んなねぞ」て、教えたど。そして一生懸命で掘って行ぐども、なかなか出ないずもの。その金瓶。そうすっじど、一人の兄弟、
「おらはそんなことやめた」
 て別な仕事についてしまったど。そのうちにまた別の兄弟、
「昨日も掘っても出ないし、今日も出ながったし」
 一人やめ二人やめして、とうとう辛抱つよいのが、一人になったど。そして隅から隅まで掘って、掘った土も唯置かんねから、耕したわけだど。そしたら野菜ででも何でもよく出来るど。そして終る頃になったとき、その息子は気付いたど。
「父親のいうたのは、金瓶でなく、土を深く掘れば掘るほど、作る物がよく出来ると、こういう教えであったな」
 て、気ぃ付いて、それから一生懸命で百姓に精出したために、大金持の長者になってあったけど。んだから人間で真面目に一生懸命に働くもんだど。むかしとーびん。
「集成 178B系 二人兄弟」
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