18 子育て幽霊

  むかしあったけど。
  あるところに、若くて子ども生んだばっかりで死んだどっす。お嫁さんがな。そんだども、こんどその旦那さんが子ども抱えで、もらい乳して歩くようなあんばいであったど。
 死んでもその母親は子どものこと心配して、そして夜になっど、お墓から出てきて、(この辺で死んだとき、六文お金もらって行くのな)その一文銭もらって飴屋さ行くずだもの、毎晩げ。そして、
「飴、一文宛売ってくろ」
 て、そう言って、一文宛の飴買ってきて、そして子どもの口さ、その飴放り込んで帰り帰りしたど。そしてはぁ、六晩も続けたども、あと金がなくて買うよできながったど。それ、こんど父親は、
「はぁて、六晩も大人しかったに、まず…」
 て思って、
「なんちゅうごんだべ、こんなことは」
 て、そう思っていたど。そしたばその飴屋に、
「こういう女が、おら家さ飴買いに来てあった」
 て、聞かせてらっで、ほんで、
「死んでも、この子ば心配して、出てきたなであった」
 て、よくよく大事に育てらんなねて、親父ぁ本気になって子ども育ててあったど。むかしとーびん。
「集成 147A 子育て幽霊」
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