6 絵姿女房

 むかしむかし、あるところに、とても働く若者がいて、その若者がきれいな奥さんもらったど。ほしてまた、仲良くて片時も離しておかんねど。
 んだげんども、炊事仕事、洗濯、何かぇさんなね、ほういうとき野良さ出はって行がねわけもいかねし、ほんどき、なぜすんべと思ったら、ほの、片時も忘れらんねもんだから、絵描きに、きれいな奥さんの絵描いてもらって、ほして、絵とともに田んぼ、畑さ行って稼いだ。ほして絵ばちゃんと木さ貼りつけておくとか何かしていたところが、風吹いてきて、その絵が飛ばさっでしまった。
 ほして、どんどん、どんどん飛んで行って、どこさ行ったと思ったら、ほのお城の中さ飛んで行ってしまって、殿さまの目さ止まってしまった。ほうしたら、殿さま、
「うん、これはすばらしい(おなご)だ。こういう女、おれの側女にあげろ」
 ていうわけで、草の根分けても探がせてていうわけで、探してみたところが、その人の奥さんだったって。ほして否応なしに、城中に連れて行ったわけだど。
 連れて行かれっどきに、その奥さんが言うたど。
「三年たったら、桃売りござっしゃい」
 ほして、桃の木植えて、三年経ったれば()ったもんだから、その桃背負って、お城さ売りに行った。ところが、いままでブスーッとしていたほの奥方が、桃売り行ったれば、笑った。ほうしたればその殿さま、
「奥が笑った」
 ていうわけで、非常に喜んだ。
「何、ほだえ面白い」
 ていうたらば、
「ほの桃売りぐらい面白いな、ない」
 ていうたど。
「んだら、おれ、ちょえっと桃売りになってみっかなぁ」
 ていうわけで、こんどぁ、その桃売りとお殿さま、取換えっこしたど。ほしてお城さ、百姓が殿さまになってしまったわけだ。殿さまは桃売りになってしまったわけだ。
 桃売り面白いど思ったら、地方さ行ったら、何と、桃など売れるもんでない。面白いどころか、ほうほうの態ではぁ、
「こだごとしていらんね。早く城中さ帰らんなね」
 ていうて、帰んべと思ったれば、
「何だ、お前。どこの者だ」
「おれは殿さまだ」
「殿さまなど、ちゃんと城中にいる。変なこと言うな」
 ていうわけで、さんざん、そこで怒らっでしまって、ほして城中さ帰らんねぐなってしまった。して、こんど、ほの百姓がゆうゆうと殿さまになって、そのきれいな奥さんと、城中で暮したけど。どんぴんからりん、すっからりん。
>>かみなが姫 目次へ