5 姥捨(2)

 むかしあるところに年寄りいだけど。息子、親いらねくて捨て行ったのよ。そして沼さ入れんべと思って、一生懸命に、ばんつぁは入っだぐないという、息子はいちねていうどこさ、お役人が来たんだげど。ところが親が、
「おれも年もいったし、なえったて家さ帰らね」
 て言うのだげんども、おらえの息子は、
「年寄りいなくては世の中うまく行かねから、なえったて捨てて行かんね」
 て言うなで、困っていたどこだて言うたど。そして「なるほど」て、そういうことなってから捨てねぐなったんだど。
(横尾高治)
>>カマイタチ 目次へ