14 蛇聟

 まいど、ばっちゃと娘ばりでいでやったど。そうしたばその家さ、夜になっじ どええ男来るんだけど。その娘さよ。そうすっじど、ばっちゃ、不思議などこ見っ だんだか、ツムギ、鉢さ取ったど。そいつ蒲団針ぎっちりつけて、
「晩げ、あの男ぁ来たらば、衣裳の裾さ、これジクジクと縫いつけてやれ」
 て教えたど。そうすっじどその娘ぁ、じっくりとなんぼ針も縫いつけてやった ど。そうすっじど、朝げになって、そのツムギぁずるずると這って行ったごんだ ど。そうすっど、
「ツムギ辿って行ってみろ、どこさ行ったか行ってみろ」
 て、そう、ばっちゃに言わっだど。ずうっと行ったれば山さ行って洞の中さ入っ たど。そうして行ってみたれば、ウンウンとうなる音すっけど。その親が言った けど。
「んだから人間など賢こいから、人間さなど決して行くもんでない。人間さかまっ たから、そういう目に会ったんだ」
 て言わっでだ音すっけど。そしたば、
「おれ、千匹妊 (はら) ませたから、おれぁ生命なくなったてええ」
 て言うけど。そしたば、
「人間など賢こくて、五月節句の菖蒲湯さ入っじど、そんなものみな堕ちてしま う」
 ていう音聞きつけたど。その娘ぁ、蛇の子妊んだなだから、節句来んなばり待 ちていたど。そうして節句来っじど、こんど菖蒲湯立てて入ったど。そうしたら ば、蛇の子、井風呂の中さゾロゾロ生まっで来るのだど。
 んだから菖蒲湯さざぁ入るもんだど。どーびんと。
(大平・渡部もよ)
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