13 猿聟

 田んぼに水かけた人に、三人娘持ったの、一人呉るというて、水かけてもらっ て、家さ帰って来て、
「猿のおかたになって呉ろ」
 て言うたら、その娘どもら、
「そつけな、何もんぼっでいんべ」
 て、親の言うこと二人とも聞かね。一番の末子娘が、親たちの言うこと聞いて、 「おれ、一緒になる、もらわっで行ぐ」
 て言うて行ったって。そして三月の節句礼に来っどき、餅持 (た) がって行くとき、
「鍋さ入れっど、鍋くさいていうし、そんじゃ臼がらみ背負って行く以外にない べ」
 て、臼がらみ背負って来たど。そして桜の花きれいな咲いっだどこで、
「桜の花一枝とって持って行きたい」
て言うど、
「おれ取って呉る」
て言うて、臼置くと思ったら、
「臼置ぐと土くさいて言うから」
て、臼背負ったまま登ったど。「これが」て言うど、「まだ天井ンな」て言う。 「これが」て言うど、「いまちいと天井ンな」て言うて、上さあげてやって、その 枝、ぼいって折 (お) だっで死んだごでな。とーびんと。
(新沼・土屋ひろえ)
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