蛇にみこまっだ娘


 むかし、蛇が男に化けて、女 (おなご) どこさ毎晩通って来たもんだったど。毎晩来るも んだから、
「あの人はなえだて、すげない人だ」
 て家の親達も気ぁ付いたことあったど。
 そうしていだどこぁ、段々に娘が青くなって、人 (ひと) 色 (いろ) でなくなってしまったど。
娘ぁ悪くなっど困るどて、親達が心配したど。そうしているうちに、
「あの男に何かかにかあるに相違ない。何とかして見はらかしたいもんだ」
 て、親父が外に出て、娘さ豆炒りさせで、自分は娘だのいるところ見えるよう に隠っでいたど。
 鍋でがらりがらりと豆炒っていたもんだが、蛇がその鍋のツルさ、ぎりぎりと からまってヘラを口にくわえて、豆炒りしったど。
「つまんねな、つまんねな」て思いながら親父は不思議にしているうちに、娘が 段々にがおって、死んでしまったど。そうすっど、あの蛇の畜生だ、て、そこら 捜すげんど、なかなか見つかんねがったど。
 んだから、決して外さ小便たれっどきにぁ、穴のあっどさたれんなよ。トービ ント。
(西高玉 佐藤まつ)
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