雀むかし


 じんちゃどばんさが雀飼ってたど。雀が機織ってパタパタて、
「その機を売りに行んから、ばんさ窓貼りしったどさ行って、糊などなめたりす んなよな」
て、じんちゃは機売りに行ったど。そしてじんちゃが行ってしまったら、雀はそっ と糊なめたど。ばんさは怒っ (ごしゃえ) て、
「この畜生」どて、舌 (べろ) 切って飛ばしてやったど。そしたらじんちゃ帰って来て、
「雀、雀」て云うても返事ぁなかったど。
「雀どこさ行ったべ」て、ばんさに聞いたら、「畜生、糊なめあがったから、舌 (べろ) 切っ て飛ばしてやった」て云ったど。
 じんちゃは雀探 (たね) しに、出はって行ったど。
「雀ぁどこさ行った」
 そしたら笹やぶで、雀ぁ機織りしったったど。「雀でないか」て云うたら、
「じんちゃだら寄せる。ばんばだら寄せね」て、タンタンタンて、機織りしった ど。
「雀、雀、じんちゃだぜ」したらば、じんちゃ来たかて、ぶどう酒 (ざけ) 飲ませて、雀 いっぱい寄せて、大酒盛して、
「ツヅラ呉 (け) てやっから、重たいなええか、軽 (かる) こいなええか」て云うから、
「オレも年取ったから、軽い方がええ」て、軽い方のもらって来たら、いっぱい 赤い衣裳入っていだったど。トービント。
(西高玉 佐藤まつ)
>>蛇むこむかし 目次へ