5 関所役人

 むかしむかし、関所ざぁあって、関所通っどき、関所役人がいちいち攻めた。
「こりゃ、こりゃ、どこへ通る。ほら、どっちゃ行ぐ」
 一人の人は頓智ええ人ぁいで、馬さのったまんま行った。
「これこれ、どこへ通る」
 ほうしたれば、
馬脚(ばきゃく)足病(そくびょう)なれば、のりうちこめん」
 て言うた。関所役人が何が何だかさっぱりわからね。
「わからねがら教えてけらっしゃい」ても癪だから、「通れ、通れ」て言うたて。
 ほれから、こっちの方から、中山(上山市)の関所さ行った。ところが、
「これ、これ、どこへ通る」て言うた。
中山(ちゅうざん)米沢(べいたく)宮内(ぐない)に通る」て言うた。ほうしたけぁ、首ひねったけぁ、「通れ、通れ」て言うた。
 大分、むかしは頭のええぐない役人が多かったと見える。どんぴんからりん、すっからりん。
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