127 竹の爺

 むかしむかし、じんつぁとばんちゃいで、ほのじんつぁが竹切って暮していた。ほれ、洗濯竿、ほら、竹細工する竹、いろいろ伐って暮しった。
 二人のうちに子どもいねがったもんだから、子ども欲しい、子ども欲しいていうわけで、神さまさお祈りしったった。
 ところがある日行って見たれば、何だか根っこの方がぴかぴか光る竹あったけど。
「不思議な竹もあるもんだ、竹の光んのざぁ、この年なっけんど初めて見た」
 ていうわけで、
「んだら一つ丁寧に切ってみっか」て切ってみたれば、ほの光る竹の中から、ちっちゃこいおぼこ出はってきた。
「はぁ」
 竹切って暮していっから、ほのじんつぁのこと、みんな〈竹取りのおきな〉ていうていっかった。ほしてほの子ども育てたれば、だんだぇ、だんだぇ器量ええぐなって、名前ば、〈かぐや姫〉て名付けた。
 て、とうとうかぐや姫も年頃になったはぁ。ほうしたればその評判聞いたお殿さま、
「ぜひ、お嫁さんに欲しい」
「いや、あの、おら家でも跡取りいねがら()でやらんね」
 んだげんども、殿さまの命令で何とも仕方ない。ほして月夜の晩の明るいとき、篭を仕立ててもらいに来たわけだ。その篭、二重にも三重にも警護してお城さつれて行くべと思ったら、みんなものすごい睡魔に襲わっだ。ねむたくなって、誰一人起きっだ人いね。ほんどき、ほのかぐや姫、篭から天さすいすい、すいすいと舞い上がってしまった。
 ほだえしてるうち、目覚めて、あれよあれよて言ううちに、天さ上がって行ってしまった。どんぴんからりん、すっからりん。
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