107 中折帽の由来

 むかしむかし、あるところに葬式あって、ほこさ村長さんが洋服着て、山高帽かぶって行った。ところが葬式すんで、三十五日。
「三十五日まで、暫時の間、休憩してけらっしゃい」
 て()っで、ほの山高帽の中さマンジュウ入っで、家の隅こさ置いっだ。ところが、ねずみ出はってきて、ほの山高帽さ孔あけて、饅頭食ってしまった。ほうすっど、孔あいっだ帽子かぶって歩かんねもんだから、村長さんが、ほこ真中へこませて縫ってもらった。ほしてほいつかぶって行ったら、馬鹿に格好ええがった。ほれから、山高帽が中折になったけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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