102 トクサのワラジ

 むかしむかし、あるところに飛脚商売の人いだっけど。ほの人は目的のところまで行ってくるには、ワラジ三足も背負んなねけど。
「こだえ、ワラジ背負わんなねごんでは、何かええ工夫ないべか、ワラジ代ばかし、馬鹿になんね」
 昔は、ほれ、二足で三文なて言うたげんども、三文の金も大変だった。で、ほの飛脚の人、考えた。
「ほりゃ、トクサだらば減らねべ」
 というわけで、トクサでワラジ作った。ほしてはいつ履いて、ある時、書簡もって走って行った。だんだぇ足、軽こぐなる、はか()かねげんど軽くなる。峠の天辺まで行ったときには、胸のあたりまで減ったんだどはぁ。ほしてほっから、どんどん、どんどん()っで行って目的地さ着いて、「こんにちは」て言うとき、頭しかなかったどはぁ。んだがらて、トクサのワラジなて、ほだな、体の方減るもの作ったてわかんねて、昔の人は言うたもんだど。どんぴんからりん、すっからりん。
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