135 目立て

 むかしとんとんあったけど。
 ある村で相当銭も残して、田舎にばっかり居だって仕様ないし、こりゃ東京さでも行ってオメカケさんでも持って楽々暮すべと思って、東京、むかしの江戸さ行ったんだけど。
 ほして知ってる家さ身寄せていたれば、朝げ、「メカケ、メカケ」て来た。
「いやいや、東京ざぁ便利なもんだ。メカケまで世話する人いっか」
 と思って、ほしてよっく聞いてみたれば、
「大きいノコのメカケ、小さいノコのメカケ」
 いきなり出はって行って見て、
「こりゃこりゃ、メカケ屋、大きいノコて言うのは、どのくらいのノコなもんだ」
「はい、手前どこでは、尺五寸以上大きいノコを申します」
「ああ、そうか」
「尺三寸以下は小さいノコと申します」
「なんだ、わが村では、おれは村一番ていわっだげんど、六・七寸しかない。東京では大分大きい人、いるもんだ。そんな大きな持ってるないるもんだか」
「はい、たくさんございます」
「いやいや、これはぶったまげた。いや、おれのは何の部さ入っかな」
「お客さん、お客さん、感ちがいしてござらんか。うちは鋸の目立てでございます」
「なんだ、目立てか、メカケと思った」
 どんぴんからりん、すっからりん。
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