123 一休和尚

 一休和尚ていう人が、ボロボロの袈裟衣きて裏口から入って行ったど。
 ところがすばらしい旦那衆が、
「おら家では、お前みたいな乞食坊主頼んだ憶えない」
 早々にして叩き出さっだ。ところが間もなく一番上等の衣着て、表から堂々と入って行ったば、
「ああ、一休和尚さま、一休和尚さま」
 て、下にも置かねでもてなした。ほしてお経上げて帰って来っどき、旦那さ言うたど。
「お宅ではこの一休を頼んで呉だんだが、そのとも衣を頼んで呉たんだか」
「なしてだ」
「実はついさっき、裏口からボロ衣着て入ったのは、わたしだった。乞食坊主ていうわけで、突出さっだ。表からええ衣を着て入ったばっかりで、さあ和尚さま、和尚さまて待遇受けた。中味には変りないんだ。結局お宅で崇拝してんのは衣だけだったではないがったか」
 こういう風に言うたっていう話だど。
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