第四部 言葉にかかわる話

 ずっとの昔、ふる里は庄内藩に属していた。
 今でも、あたりの町や村と言葉づかいに、どこか異なった匂いが感じ られるとしても不思議ではなかろう。
 昔、蓑を常用してる頃、蓑をミノと呼んだのは郡内では此処だけ。近 郷ではミンとか、ミヌとか、今は同じ町内だが、秋田に近い及位地区で はケラと言っていた。
 県内広く眼を移しても、庄内がミノと呼んで、村山、置賜でも内陸地 方は大方ミヌだった。
 この地は近在から僻地とさげすまれながらも、往時酒田に近かっただ け、何やら京に近い面もあったのかもしれない。

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