開講年次:2年次
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卒業:選択
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開講時期:前期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
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■ 科目のねらい |
本科目は、総合文化学科のディプロマポリシーを実現することを目標として設置されたカリキュラムポリシー「汎用的能 力・社会人としての基礎的能力、学問の方法、実務遂行能力・コミュニケーション能力をさらに高めること」の達成のた めに設けられた「ハイレベル」科目として配置されている。
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■ 授業の概要 |
講義のテーマは「源氏物語の研究」です。「源氏物語」は確かに恋愛が中心です。でも、女性である作者は、恋愛を描 きながら「隠した」メッセージを持っていました。そこでまず、長編の物語の骨格を理解し、それがどのように変化して 豊かな作品世界を作っているかを学びます。そして、時代背景や思想についても解説し、現代との違いを知ることによっ て現代を相対化して捉えるとともに、形を変えながら現代と共通している課題であることを学びます。 「源氏物語」を理解することを通して、現代を歴史と文化を踏まえながら総合的に理解し、現代と関連付けて説明でき るようにします。
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■ 達成目標・到達目標 |
@源氏物語の長編構造を説明することができるようになる。 A物語の表現方法が、現代のマスメディアと共通する要素を持っていることを知り、現代の表現を分析し説明できるようになる。 B現代との違いとともに、現代的な課題との共通性について説明することができるようになる。 C人物に即しながら、作品の主題や時代背景について説明することができるようになる。
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■ 単位認定の要件 |
少なくともBまでの達成目標で、60%以上に到達すること。
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■ 単位の認定方法及び割合 |
期末レポート:70% 授業内提出物:30%
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第1回 |
ガイダンス
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源氏物語の常識的知識の確認と、それをあらためて考え直します。
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第2回 |
光源氏の一生
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光源氏の一生を概観し、二部構成説と三部構成説について学びます。
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第3回 |
予言1 桐壺巻の予言
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光源氏誕生のいきさつとそこに込められた時代背景を踏まえ、長編構造の骨格となる予言の1を学びます。
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第4回 |
予言2と3 若紫巻と澪標巻の予言
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光源氏の一生を規定する三人の子どもにまつわる予言とそこに隠された課題を学びます。
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第5回 |
二つのゆかり
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源氏物語の長編構造の骨格を「二つのゆかり」として捉え、その構造図をもとに学びます。
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第6回 |
藤壺論1
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光源氏にとって運命的な存在である藤壺の一生を概観します。
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第7回 |
藤壺論2
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藤壺の物語から源氏物語の主題を論じた「風諭説」「もののあはれ説」「王権論」を、その思想的背景を含 めて学びます。
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第8回 |
藤壺論3
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従来の主題説の批判の上に立って、源氏物語の主題が継承の物語であることを学びます。
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第9回 |
悔恨とつぐない1
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不本意な結婚だった正妻葵上。しかし、死後も光源氏の生き方に大きな影響を与えます。その意味を学びます。
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第10回 |
悔恨とつぐない2
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本来高貴な女性である六条御息所を光源氏は物の怪にまでしてしまいます。そのつぐないが、後の光源氏に 与えた影響を学びます。
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第11回 |
明石君論1
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「二つのゆかり」のもう一つの柱、明石君の一生を概観します。
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第12回 |
明石君論2
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低い身分として扱われる明石君の存在が、紫の上の存在と不可分の関係であることを学びます。
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第13回 |
紫の上論1
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源氏物語の女性主人公・紫の上の一生について学びます。
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第14回 |
紫の上論2
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紫の上が担っていた役割と、主題の変化について学びます。
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第15回 |
継承の物語
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まとめとして、意志の継承を長編の骨格にしていた源氏物語が、主題の変化とともに、存在の継承の物語に なっていることを学びます。
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■ 時間外学修 |
各回の授業の最後に、その授業の理解を深めるために読むべきテキストの箇所を指摘し、参考として調べる事柄を指示 します。(目安時間 各4時間)
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■ 課題に対するフィードバック |
授業内にて説明します。
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■ 使用テキスト・教材 |
熊谷義隆『源氏物語 二つのゆかり』(新典社新書)1,050円
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■ 参考文献等 |
森一郎他編『源氏物語の展望』第六輯(2009.三弥井書店)秋澤亙・袴田光康編『源氏物語を考える』(2011.武蔵野書 院)
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■ 連絡先 |
y_kumagai(at)g-tbunkyo.jp
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